いいIDは
生きつづく
2020 09.10 18:24
いいIDENTITY、シンボル、ロゴ、エンブレム、紋様といった類がたまらなく好きである。
デザインのなかでも、ネーミングを含めたアイデンティティを創ることが一番好きで楽しい仕事かも知れない。
どうしてか?(自問自答)
すぐれたアイデンティティには、さまざまな要素がその中に凝縮しているところ。また、その対象となる存在と共に、デザインされたものが、永きにわたり生きつづけられる(可能性がある)ところも魅力。ひと粒で2度も3度も美味しい。
思い起こせば幼少期、強く印象に残っているのは仮面ライダーのサイクロン号のセンターにあるエンブレム。あれがはじめてのロゴマークとの出会い?
仮面ライダーの絵は毎日よく描いていて、そのスペースに「仮面ライダー」と真っ赤なイタリックなロゴタイプも描きレイアウトしていた。
その流れで、最初に覚えた漢字は「仮面」。クレヨンで「仮面」を書いた時の情景「オレはイマ、漢字を書いている」はまだ記憶の隅にいる。
人造人間キカイダーのデザインも好きだった。KAWASAKIのサイドカーがかっこよくて、そこからオートバイに目覚め、オートバイの折込チラシを集めてコラージュみたいなものを作っていた。ハカイダーのKAWASAKIマッハⅢもかっこいいし、ビジンダーってヒロインもいたなぁ。(いろいろネーミングがすばらしい)
仮面ライダーの中では、何と言ってもアマゾン。いろいろと異質なライダー。はじめて変身ベルトが欲しいと親にねだって買ってもらった。ギギの腕輪もついてて最高だった。子ども心にプリミティブ心をそそる一連のデザイン。自分のチャリを段ボールとかでジャングラーみたいに改造してたなぁ。すぐに壊れたけど。
改めて考えると「仮面」というものは、縄文土偶の「仮面の女神」やアフリカのマスクもしかりだが、邪悪なものを退散させる力をもった人間以外のナニモノカに変身する一番プリミティブな行為であり、何よりも「顔を変える」ことが変身への一番重要な要素になる。
石森章太郎(その頃は石ノ森ではなかった)は、ゴレンジャーに始まるスーパー戦隊シリーズもそうだけど、フォーマットを創るのが先駆けて上手く、それは未だに続いているのがスゴイ。ウルトラマンとの差は何ですかね。現代の仮面ライダーでも、オープニングに「原作:石ノ森章太郎」と連綿と受け継がれる様はとても感慨深い。
ついでながら、タイトルロゴのレタリングに関しては、石ノ森章太郎もいいが、さらに手塚治虫の質と量は圧倒している。ロゴタイプの神様でもある。いちいちスゴイ。手塚治虫のタイトルだけ集めたデザイン集があるといいなぁ。
高校生の頃になると「Theシンボル」として、十字架をいろいろと収集していたりしていた。このシンプルな十のデザインはスゴイものだと思う。象徴であるキリストではなく十字架をシンボルにするいうこともスゴイ。常にこのシンボルにはストーリーがついてまわるという考えか。キリスト教ではなかったが、教文館のキリスト教フロアはよく覗いて、クリスチャンのデザイン商品を買っていた。こういった本格的なものはデザインが美しいものが多い。
聖書は読み物としても好きで、読むと心が落ち着く。装丁も美しい。宗派としての教えも素晴らしいと思う。
しかしながら自分には、縄文からはじまるアミニズムとか八百万に神が宿るといった考え方に共感が強く在る。ちなみにキリスト教やイスラム教など神がはっきりしている宗派では仮面文化は無いそうだ。なるほど。ディズニーランドがコスプレ禁止みたいことですね。だからこそ日本をはじめとしてアフリカ、オセアニアなど仮面文化圏では、多くのデザインの仮面が存在するのか。
これは15年くらい前のわたしのMacの壁紙。当時好きだったロゴマークを集めたもの。これは、自分で新たにロゴをデザインする際に、こういったモノたちと並んでも遜色ないレベルのクオリティかどうかを確認するためのものでもあった。この中に入れてみるとそのもののレベルがたちまちに視える。
I♥NYは、最初に見たのは子どもだったけど、一度見たら忘れられない魅力があった。FedEXの→がひそんでいるのも見えた時はけっこう衝撃だったり、Disneyはウォルト・ディズニーのサインがほぼロゴだったり、クロネコの親子だったり、名作ぞろい。Coca-Colaもすごい強いアイデンティティ。Pepsiがあの手この手でデザインをかましても、かなわない王道。小学生の頃、世界中のコカ・コーラのミニボトルがもらえるキャンペーンがあって、それぞれの言語なのに全てコカ・コーラなのは、あのボトルの存在も大きいのだと思った。
いいアイデンティティには、その先のビジョンが込められているものが多い。
それは、想いをわかちあいブレない確かな存在というものを、永い時間をかけ創り上げていけることが理想。
それには、お互い進化を続けていかないと退化してしまう。
その魂は、共に生きつづくものなのだ。
そして何と言っても魅力的なアイデンティティは、縄文の土偶・土器にとても多い。やはり縄文のはじまりが、デザインのはじまりだ。しかしながら、これらすべてが説明可能という訳ではない。そこも永遠の魅力の源であり、またそこも含めてメッセージかとも想う。
上に描き出したのは「縄文のビーナス」のヘルメットにぐるっと一周ある文字の様なシンボリックなデザイン。それは、天面の渦巻へとつながる。 mc 9 パックマン ⦿ ▷ ・・・ などなど。
同じ長野の阿久遺跡の壺に描かれた文字のような記号ような紋様たち。他にも文字的な絵柄は土器に多い。いつか意味がわかる日がくるのだろうか?
さらに遡ること氷河期に残された人類最古の文字たち。その多くは32の記号に集約されると言う。
◯U□YX*+V1ー、、、現代にも生きつづいている記号のようなシンボルだらけだ。
シンボル、アイコンといったものは、時代を超えて遺るものなんだろうと想う。
ワインのジャケ買で見つけたPedralonga(ペドラロンガ)。生産者の畑でとれる石をボトルのデザインにしている。このストーリーは、デザインのフォーマットとして永遠に続けられる。
もちろん味も美味いが、このジャケのデザインを見ながら呑むと、スペインのこの地へのイマジネーションがふくらんでなにより楽しい (㊀ö㊀)